希望の立地条件を考える

自然に囲まれた郊外と、便利さを表す都会との対比を表すイラスト
住まいを探すときには当然希望の立地を考えますが、どのようにして決めたらいいか悩むことがあります。あれもこれもといくつもの条件が並ぶとなおさらです。自分は何を重視するべきか、しっかり整理をして希望立地を選びましょう。

便利・快適な暮らしを求める立地選択

立地条件に便利さ、快適さを求める人は多いでしょう。毎日の生活の中で利用する施設の種類がそろっているか、選べるだけの数があるか、距離は近いかといったことがポイントになります。

 

毎日の生活の中で、利用頻度が高い買い物施設の存在はとても重要です。スーパーマーケットや商店街、コンビニエンスストア、ドラッグストアが充実しているととても便利ですね。他には銀行、郵便局、病院などは、利用したいときにないと困る施設です。

 

暮らしに快適さ、あるいは豊かさを与えてくれる施設としては、まず外食できる店舗が挙げられます。気軽に入れる店、ゆっくり落ち着いて食事が楽しめる店、ひと息つけるカフェなどを優先度高めに考える人もいるでしょう。このほかについては、個人の趣味やライフスタイルによって大きく変わってきます。自然を好む人は街中であっても大きな公園がほしいとか、思い切って自然豊かな郊外や海辺の町を選ぶ人もいるでしょう。人によって、ないと困る施設や店舗も違い、これらの有無は当人にとっては暮らしの快適さを左右します。例えば図書館・書店、スポーツジム、各種レンタルショップ、各種専門店などです。

 

これらほしい施設が多くそろった環境であるほど街の規模は大きくなり、自然環境を求めて喧騒から離れていくと施設の種類や数は減っていくのが一般的です。便利さと自分にとっての快適さ、暮らしの豊かさは相反することもありますから、自分のし好と優先条件を明確にして検討・判断していくことになります。

交通利便性による立地選択

電車や地下鉄など、交通利便性の良い立地を表したイラスト

社会人・学生、多くの人は職場や学校に通います。基本的にそれは毎日のことなので、住まいの立地選びにおいて通勤・通学時の交通利便性に重きを置く人は多いでしょう。住まい選びは、最終的には予算との相談になりますが、予算ありきで交通利便性を大きく譲歩すると、住み始めてから後悔することにもなるので、きちんと考えることをおすすめします。

 

検討内容としては、まず学校・職場などの目的地までの全体の距離・時間、最寄り駅から自宅までの距離・時間が基本になります。具体的には、ドア・ツー・ドアで片道1時間までならOKなのか、30以内でないとだめなのか、1時間を超えても全然苦にならないのかということを明確に決めます。合わせて駅までの道のりは5分以内くらい近くないとだめか、結構歩いても大丈夫か、むしろ静かな方がいいからバス利用の住宅地まで離れるかという自分の意向を決めます。

 

その上で、前項の周辺環境の利便性などを考え合わせて希望の沿線・駅候補を選んでいきます。沿線・駅の選択については、全体にかかる時間の他に通勤・通学の快適さも重要な要素になります。具体的には、朝夕の利用時間の発着本数は十分か、快速列車や急行列車の停車駅かどうか、沿線の乗り換え回数は多すぎないかあるいはスムースに乗り換えられるか、利用時間帯の混雑具合はどうか、主要なルートの他に並行する他のルートがあるか、などです。自然災害の発生が増える中、交通混乱時の行き帰りも想定する必要があるので、複数ルートの確保も検討しておきましょう。

 

自宅と駅との行き来については、徒歩距離の他に道のりに信号や踏切があると所要時間が増えるので、留意しましょう。バス利用の場合は、発着本数の確認の他に最終運行時間も確認しましょう。帰りが遅くなったときに何時までならバスに乗れるのか、歩けるのか、タクシーの利用可否とおおむねの料金まであたりを付けられるといいですね。

 

基本的に移動に自家用車を使う人には、鉄道利用に関する条件は優先度として低くなります。代わりに住居の駐車スペースの状況、車の出し入れのしやすさ(前面道路の幅員など)、幹線道路や高速道路までの距離、道路の混み具合、近隣のガソリンスタンドの有無などの確認が必要になります。

世帯の状況による選択の違い

住み替える立地の選択は、世帯人数や置かれた状況、将来の見通しによって変わってきます。世帯ごとの選択ポイントを見ていきましょう。

 

【単身世帯】

一人暮らしの場合の立地選択は、ひと言でいえば「自由」です。共通の制約があるとすれば、「勤務先」や「学校」に通うということを念頭に置くことくらいでしょう。これも、通勤・通学時間の短さを優先する人がいる一方、いささか時間がかかっても住みたい環境を選ぶ人も多くいるので、あとは個人の条件次第ということになります。

 

【二人暮らし】

基本的に夫婦二人を念頭に共働き世帯だとすると、まずは双方の通勤距離(時間)を考慮して、住まいと勤務先との位置関係で検討していくことになるのではないでしょうか。二人とも大体同じ通勤時間になるようにする人もいますが、就業形態や勤務条件、家事の負担割合などが違う場合も多いので、二人でうまくバランスを取れればそれが適した選択と言えるでしょう。その上で二人の共通の趣味・ライフスタイルに合う場所を探すことになります。

 

【子育て世帯】

「子育て」という時期は考え方によって幅が出てきますが、おおむね乳幼児から中学生くらいまでだとすると、まず子供を育て暮らすことを最優先に住環境を考える世帯が多いのではないでしょうか。

 

子育て世帯が優先する住環境、その条件とは、まず「保育園」「幼稚園」が近くにあって通いやすいことが挙げられます。特に夫婦共働きの場合は、毎日の送り迎えがラクなことに加え、保育中に子供が急に具合を悪くしたときのお迎えのしやすさも考える必要があります。

 

この他、公園の存在も重要です。できれば大小の公園がそろっているといいですね。大きな公園は緑や水辺などの自然があり、思い切り遊べるイメージ。小さめの公園は、構えた準備をせずにふらっと行って短時間で子供の欲求を満たすイメージでしょうか。また、雨の日でも遊ばせられる公共の室内遊戯施設があることも結構大切です。

 

教育のことを考えるなら、小・中学校の「学区」を重視する人もいるでしょう。通学時間と道のりの安全性を踏まえた場所選びが基本となります。また、特に乳幼児期には急な体調不良が心配ですから、小児科をはじめ各診療科の病院があるといいですね。休日・夜間の急患に対応してくれる医療機関があるとさらに安心です。

 

【高齢者世帯】

高齢者だけの世帯または家族に高齢者がいる世帯では、年齢や健康状態によっても違いはありますが、基本的には「安心・安全」を最優先にした立地がよいと考えられます。

 

まずバリアフリーを念頭にすれば、階段や坂道を上り下りするような立地は避け、活動範囲はできる限り「平坦」な場所を探すといいでしょう。駅・バスの利用、近所での買い物、かかりつけの病院などまでの車両交通量などを含む、歩行の安全性にも留意しましょう。安心して外を歩ける環境ですと、外出が面倒になりにくいので、散歩や近所への買い物などに頻繁に出かけることで、健康面にもプラスになりそうです。

 

このように、世帯構成の違いやライフスタイルによって、どのような立地に住むのがいいかは変わってきます。すべてをパーフェクトに満たす立地が予算内で見つかれば悩むことはありませんが、そううまくはいかないので、重視する条件に優先順位をつけて絞っていく作業が必要になるのです。またそれが、後悔しない住まい探しにつながることでしょう。

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